ゴルゴ13。。。

 もう何十年も前に読んだ『ゴルゴ13』のことを、
 これまでにも何度も思い出したし、語ってきた。
 そして、いま、またいま思い出した。
 以下のような話だ。

 ゴルゴに、やっかいな強敵が現れた。
 暗殺を依頼された標的が、
 最新のコンピューターを駆使して、
 ゴルゴの動きをいちいち予測してしまうのだ。

 いく度かその敵の居所に忍び込もうとするゴルゴだが、
 すべての動きを読まれているらしく不首尾に終る。
 同じ失敗を繰りかえすわけにはいかない‥‥。
 ゴルゴは、街のチンピラを雇い、彼に任務を言い渡す。
 その仕事とは、あろうことか、
 「ゴルゴを殺害すること」であった。
 つまり、おれのスキを狙って、おれを殺せという指令だ。
 脅えつつも、大金を渡されたチンピラは、
 このときから雇い主であるゴルゴをつけ狙うことになる。

 じぶんで雇ったチンピラの銃弾が、
 いつ襲ってくるかわからない状況で、
 ゴルゴは、自らの標的を仕留めるべく行動を開始する。
 しかし、それは思い通りにはいかない。
 じぶんの命を狙うチンピラの動きに対処しながら、
 目標に到達しなければならないからだ。
 少しでも油断があれば、じぶんへの銃弾が飛んでくる。

 ゴルゴ自身にも予測のつかないゴルゴの動きを、
 最新のコンピューターは、予測できなくなった。
 かくして、チンピラはゴルゴに返り討ちのように撃たれ、
 標的も、ゴルゴの銃弾によって殺されてしまう。

 ゴルゴ13は、じぶん自身の行動を、
 じぶん自身にもわからせないような仕掛けをして、
 相手にも予測できないようにした、というわけだ。
 わかり切ったような作戦の読み合いを、
 自らへのリスクを仕掛けることによって突破する。
 信じるのは、瞬発的なじぶんの身体性のみ‥‥。
 マンガの世界のことだけど、よく思い出すんです。
(2013年11月27日_ほぼ日刊イトイ新聞_今日のダーリンより)