「雨が降ったら傘をさすんです」。。。

もともと誰が言ったことばなのかは知りませんが、
 「雨が降ったら傘をさすんです」って、
 たしか松下幸之助さんの講演録かなんかで知りました。
 そうかぁ、すっごいなぁと思いました。

 異常気象についてしゃべり出すのでもなく、
 天気予報の当たり外れを語りだすのでもなく、
 「まったくあいにくの雨で」と文句言うのでもなく、
 いつごろ止むんだろうと話し合うのでもなく、
 雨を研究しはじめたり雨の本を書くのでもなく、
 「傘をさして、どこへでも出かける」んですよね。

 つい、人って、雨にとらわれちゃうんですよね。
 雨そのものを見たり考えたりしちゃうんです。
 でも、雨だろうが、風だろうが、雪だろうが、
 やらなきゃならないことがあるなら、
 やりたいことがあるなら、
 それをしなきゃならないし、するべきでしょう。
 だったら、「傘をさすんです」よね。

 傘がない?
 買うなり、借りるなり、つくるなりしろよと。
 ちょっとくらいなら相合い傘で、行こうかね、と。
 ついでに言えば、動き回る用事がないのなら、
 室内で静かにしてたら、
 もともと雨なんか気にならないだろうし。

 「雨が降ったら傘をさすんです」と言いたいこと、
 あちこち、ずいぶんたくさんあります。
 そりゃぁね、「この問題が根本的に解決するまでは、
 ほんとうの解決にはならない」ということも、
 いくらでもあるでしょう。
 でも、腹が減ったら食うめしはどうするつもりか、と。
 「大問題が解決しないとすべては虚しい」わけじゃない。  
 どんな場所、どんな時代でも、
 いわばひどい土砂降りのなかでも、
 「やらなきゃならないこと」や「やりたいこと」を、
 やってきている人が、いるわけですよね。
 ぼく自身、とにかくこのことばには衝撃を受けました。
 傘や雨具をじゃんじゃんつくりたくなったものでした。
(2013年8月20日_ほぼ日刊イトイ新聞_今日のダーリンより)