実は、なんにも意味していません。。。

・「あの人は、働きものだ」という言い方があります。
 じぶんのことを「働くのが好きです」と言う人もいます。
 ひょっとしたら、ぼくも、他人からは
 「働きもの」だと思われているかもしれません。
 そうでなかった時期もありますが、
 総じて、たくさん働いてきたかもしれません。
 
 でも、ぼくはじぶんのことを、
 「働くのが好きだ」とは思っていません。
 いや、それどころが「働くのが嫌いだ」とさえ思います。
 なのに、たくさん働いているとも言える‥‥。
 どういうことなのでしょうか。
 
 「働く」ということばは、
 実は、なんにも意味していません。
 「働く」の絵を描いてごらんと言われたら、描けますか?
 「働く(work)」って、
 「する(do)」に近いくらい見えないことばです。
 
 ぼくらは、「働く」あるいは「仕事する」ということで、
 「だれかがよろこんでくれる」ことが好きなのです。
 ぼくらは、「働く」「仕事する」ことで、
 ごほうび(むろんお金も)がもらえるのが好きです。
 ぼくらは、「働く」「仕事する」ことで、
 じぶんが、なにか上手になることが好きなんですよね。
 
 「働く」ことで、だれもよろこんでくれず、
 ごほうびももらえず、なんの可能性も増えないとしたら、
 やっぱり「働く」ことは続きにくいでしょう。
 いくら「働きもの」だとしても、
 「働く」ことの先にある「よろこび」があるから、
 努力もがまんもできるし、疲れても続けられるのです。
 
 ぼくは、じぶんもそうなので、
 人間は「働く」ことそのものを好きじゃない、と思って、
 いろんな計画を進めることにしています。
 人間は、「よろこぶこと」が好きなだけです。
 いろんな人がよろこんでくれたり、ごほうびもらったり、
 ずいぶんといろんなことができるようになったりね、
 働くの向こう側には、そういうことがあるんです。
(2012年12月18日_ほぼ日刊イトイ新聞 _今日のダーリンより)