でも、ちょっと待て、です。。。

・仮に、あなたが「たこやき屋」だとします。
 なかなか思うようにお客がつかない。
 もっと買いに来てくれたらうれしいんだけど‥‥。
 
 「そうだ。みんなが知らないから売れないんだ」
 と、考える人は多いと思うんです。
 それも、そうかもしれない。
 たくさんの人に知ってもらう方法を考える。
 ポスターをつくるのか、ツイッターで広めるのか、
 新聞にチラシを入れるのか、サービス券を配るのか。
 いいネーミングを考えたほうがいいんじゃないか。
 近所のきれいなおねえさんを雇えないものか。
 ‥‥わりと、そういう流れで考えがちですよね。
 
 でも、ちょっと待て、です。
 
 あなたの「たこやき」は、おいしいんですか?
 「たこやき」のおいしさって、どういうものですか。
 どういう工夫で、おいしくしていますか。
 材料は、まちがいないですか。
 焼き方に自信はありますか。
 そこらへんのことを考えるほうが、
 先じゃないのでしょうか?
 
 ほんとは、なんにつけてもそうだと思うんですよ。
 「たこやき」というのは、たとえばって話です。
 ほんとにおいしい「たこやき」なら、
 絶対にやがておおぜいに知られるはずですし、
 不便な場所にあっても、コワイじじいが焼いてても、
 いずれは売れるはずなんです、ほんとに。
 もっと知らせたい伝えたいというようなことは、
 「たこやきがおいしい」ことが前提なんですよね。
 
 たとえ、宣伝広告がうまくいったとしても、
 もともとが「おいしくない」場合には、
 「おいしくない」ということが伝わるのです。
 最近、コミュニケーション技術について、
 あちこちでいろいろ語られているようですが、
 「うまく伝える伝わる」の前に、
 その「たこやき」は、おいしいんですか‥‥ですよねー。

(2012年11月29日_ほぼ日刊イトイ新聞_今日のダーリンより)