たいしたことない人たち。。。

・なんか、先に年をとった人たちが、
 若い人に、ああなれこうなれ、ああせいこうせいって、
 「期待しているからこそ、言うんだ」ってこと、
 よくあるじゃないですか。
 なにが足りない、かにが足りない。
 もっとこういうところはないのか。
 夢がない、希望がない、本気じゃない、
 怒りがない、反抗がない、ワルじゃない、
 そんなことでいいのか‥‥言われる言われる。
 いいことばかりか、悪いことさえも足りないと言われる。
 
 そういうことを言ってる本人が、
 どれだけすばらしい人なのかと思えば、
 どうでしょう、不平や不満を言うのが得意な人ばかり。
 
 よく考えてみればね、
 若い人ばかりじゃないよ、そういうこと言われるのは。
 ぼく自身だって、いまだに言われていますよ。
 ある意味ね、一生言われるんです、あれこれと。
 ほんとは、なにやってたっていいはずです。
 立派である必要もないし、
 格別に誰かの役に立つこともなくたっていい。
 したいと思ったときに、すればいいじゃないですか。
 どういう人でありたいか、見つけたらそうすればいいし。
 人にされたらいやなことをしないで、
 できることなら元気でいられたら、
 それで、ほんとうは十分でしょう。
 なんの文句も言われる筋はないですよ。
 
 老人になってから覚悟を決める人だっているし、
 なにかのきっかけで必死の努力をはじめることもある。
 人のいいおやじというだけで生きた人もすばらしいし、
 大器晩成と言われたままで大往生する人だって、
 なんだかすてきじゃないですか。
みんな、
たいしたことのない人ばかりです。

 そのたいしたことない人たちが、
 持っている力を気持ちよく出し合っていけるのか。
それこそが、先に生まれたものの考えることです。


(2012年7月27日/ほぼ日刊イトイ新聞/今日のダーリンより)