ハルジョオン・ヒメジョオン。。。
・いまごろの季節に外を歩いていると、
たくさんの花が咲いているのを見ることになります。
ほんとうは夏でも、花はたくさん咲いていますが、
寒くて静かだった冬をこえてきて、
さぁ、とばかりに咲く花を見るのは、
人間にとってもうれしいものです。
人が植えて咲かせている花を見るときには、
花をいいなぁとながめる気持ちの他に、
それをした人への、共感やら感謝やらも混じります。
そして、詠み人知らずのように咲いている花には、
野良猫に対して感じるような、
たいしたものだというふうな敬意が湧いたりします。
でも、正直なところ、
街のあちこちに勝手にじぶんの居場所をつくって、
よく言えば自由に咲いている「雑草」のことを、
ぼくらは、よろこばないように心決めています。
了見が狭いなぁと、思います。
雑草が雑草であることを知らなかったら、
いいなきれいだなと感じられるのかもしれないのです。
ナガミヒナゲシという花を見ていて、
ぼくは素直にきれいに咲かせたなぁと思っていました。
知らない誰かが愉快犯のように、
空き地に花を咲かせるパフォーマンスをしている‥‥。
そう想像していたのでした。
やがて、「あの花はナガミヒナゲシという雑草です」と、
知らせれ、知ることになりました。
でも、いまも、ナガミヒナゲシのことを、
ぼくは、可愛くて儚いなと思いながら見ています。
世の価値観のなかで、「きれい」と決められた花の名や、
「いい」と決まっていることばを選んで、
「きれい」や「いい」を生きていくのは、
大滝秀治風に言えば「ほんとうにつまらん」ことです。
あの名だたる雑草をみごとに歌のなかに活けた
松任谷由実さんのあの曲を、今日は聴こうと思います。
(2012年5月13日/ぼぼ日刊イトイ新聞/今日のダーリンより)