そんなものに、どうして腹を立てるのか。。。

<そんなものに、どうして腹を立てるのか?>
 誰の名言でもありません。
 ある日、ぼく自身がふと思ってメモしたことです。
 忘れないようにしようと、いい場所に移動させたのです。
 
 もともと、若いときは多くの男のこがそうであるように、
 ぼくも気が短くて、それなりに怒りっぽい人間でした。
 ほんとうにそういう性格だったのかどうかは、
 いまになってみると、よくわかりません。
 「気が長い」よりも「短気だ」というほうが、
 「けち」であるよりも、「金遣いが荒い」ほうが、
 「保守的」であるよりも「進歩的」というほうが、
 (笑っちゃうけど)「賛成」よりも「反対」のほうが、
 「かっこいい」と思っていたからかもしれません。
 そこまでバカだったのかと呆れられても、
 事実そこまでバカだったのですから、しょうがないです。
 さんざん小生意気なことは言ってたかもしれませんが、
 要するに、「かっこいい正解」を求めていたのです。
 
 でも、長く生きてるうちにだんだんと
 「かっこいい正解」よりも、
 「ほんとになにを思っているか」が
 大事にできるようになってきました。
 いつのまにか、短気は自慢でなくなっていました。
 でも、それでも、腹は立つものなんですよね。
 腹を立てると、じぶんの時間全体が汚れたように、
 どんよりとしてきます、いやなものです。
 いやだなぁと思いつつ、気がついたんです。
 じぶんの意見と異なるものに腹が立つのではない。
 あきれるほど汚いとか、ずるいとか、卑怯だとか、
 相手にしたくないものに対して腹が立っているのです。
 ちゃんとした敵よりも、そっちのほうが腹が立つ。
 そういう傾向がわかったのでした。
 ほんとは無視をしておけばいいものに、
 じぶんの時間を費やすのは、なによりもったいない。
 このことを、これからも忘れないようします。

 誰にとっても、時間って、無限になんかないんですよね。
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(2012年10月30日/ほぼ日刊イトイ新聞/今日のダーリンより)