大人っぽさと寿命。。。

・専門的にスポーツをしている人たちを見ていると、
 「ずいぶんしっかりしているなぁ」とか、
 「大人っぽいなぁ」とか思ったりすることが多いです。
 特に、第一線でプレイをしている選手たちには、
 人生の先輩のような風格を感じることさえあります。
 
 いままで、その理由は、
 ふつうの人にはできないような濃密な経験を、
 幾度もくりかえしてきたせいだと思っていました。
 いまでも、それは、そうなんだとは思います。
 でも、もうひとつ大きな理由があるなぁと、
 あらためて感じたのです。
 
 それは、選手としての人生には、
 いつでも、あんがいすぐ近くに「選手としての終り」
 言い方を変えれば「死」があるんだということでした。
 ほとんどの職業では「これから」というような年齢で、
 スポーツ選手たちは、選手人生を終っています。
 ケガがあったりしたら、20歳でもその幕は引かれます。
 水泳や短距離走などでも、選手の寿命は短いでしょうし、
 ほんの一部の競技をのぞいては、
 ほとんどのスポーツ選手は、
 40歳くらいまでには活躍の場を去っていきます。
 
 華やかな活躍をしている状態にあっても、そこから、
 あんまり時間もなく「死」を迎える‥‥。
 こんなことを意識している会社員とか、商店主とかって、
 あんまりいないと思うんですよね。
 正直言って、ぼくが「残り時間はあんまりないぞ」
 と意識したのって、ここ数年のことですからね。
 もちろん、現役選手としてのお終いの後にも、
 ひとりの人間としての人生はあるわけですが、
 それは、まあ別の話ですよね。

(2012年8月1日/ぼぼ日刊イトイ新聞/今日のダーリンより)