「自分のバカ」を知ろう。。。

 よく「ほぼ日」にいただくメールで、
 「ネットってもっと怖いところだと思ってたけど‥‥」
 「ほぼ日」は怖くなかったという感想をいただきます。
 まだ、ネットのことを怖いと思っている人は、
 けっこうたくさんいるみたいです。
 いや、よくよく考えれば、ぼく自身も、
 ネットって「怖い」し「いやなもの」だと感じることが、
 正直言えば、いまでもあります。
 リアルの社会よりも、ネット社会のほうが、
 「おまえ、そんなことも知らないのか」
 というような「上から目線」が多いように思います。

 どうしてそうなるのかを、ちょっと考えてみました。
 社会というのは、「ひとり(じぶん)」と、
 「なかま」と「おおぜい」でできています。
 「おおぜい」というのは、観客とか顧客とか読者とか、
 たくさんの会ったことのない人びとを含みます。
 人は「おおぜい」の前では、
 見せたい「じぶん」を見せるようにしています。
 でも、「なかま」といる間は、
 見せたい「じぶん」でい続けることはできません。
 だから、そこではある意味「バカがばれてる」のです。
 
 しかし、ネット社会のなかというのは、
 「ひとり」と「おおぜい」の直接のつながりです。
 そこでは「ゆだん」や「ふだん」を見せずにいられます。
 「なかま」には「バカがばれてる」、
 というようなことを避けたままでいられるのです。
 凶悪そうなネット犯罪の犯人が、捕まえてみたら
 意外なほどにちっぽけな人間だったり、
 コドモだったりすることがありますが、それでも、
 「ひとり」と「おおぜい」の関係のなかでは、
 王様のように振舞い続けられていたんですよね。
 
 「バカがばれてる」ことが、とても大事なのです。
 誰も王様なんかじゃないと知ることが大切です。
 「なかま」をショートカットできるネット社会では、
 じぶん自身が、「じぶんのバカを知る」ことが、
 もーのすごく重要なことになんだと思うんですよね。
http://www.1101.com/home.html
(2012年10月21日/ほぼ日刊イトイ新聞/今日のダーリンより)